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イチロー選手の心構え①「道具を大切にする」

対象者:全員(仕事道具の扱い方の事例)

新入社員研修やビジネスマナー研修で活用 (2010年3月20日投稿)

電話応対研修の際、冒頭に「電話機の扱いを丁寧にしましょう」と語りかけるようにしています。

社会人として当たり前のことですので、みなさん納得顔で聞いてくださいますが、どちらかというと「そんなこと、今さら言われなくても、わかっています!」の印象が大半でした。ところが、先月の研修でイチロー選手の道具の取り扱い方を例にとり解説したところ、これまでとは明らかに違う肯定的な反応が見られました。テーマに合致した「エピソード」が、いかに聴く側の“共感” を呼ぶかを体験しましたので、今回は、そのお話を紹介いたします。


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イチロー選手の心構え①「道具を大切にする」
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見習いたいイチロー選手の道具に対する思い

道具を大事にする気持は野球がうまくなりたい気持ちに通じる」とイチローは言った。

丹念にグラブを磨くことで、一つひとつの自分のプレーにかける思いは強まり、道具作りにかかわった人たちへ感謝の念が湧いた。」『イチローの流儀』より。続いては、『夢をつかむイチロー262のメッセージ』より「手入れしたグラブで練習したことは、体に、かならず残ります。記憶が体に残ってゆきます。」2003年のシーズン終了後の言葉。

バットメーカー製造担当者にイチローから謝罪メッセージ

「あれだけのバットを作ってもらって打てなかったら自分の責任ですよ」とイチローは語る。

実は1996年7月6日、近鉄戦で左腕小池秀郎に三振を喫して思わずバットを叩きつけたことが一度ある。その後、我に返って久保田(後出)宛に謝罪のメッセージを送っていた。『何人かの選手から、自分の手掛けたバットについてお礼を言われたことは過去にもありました。でも、バットへの行為そのものを謝罪されたのはあの一度だけですね』と伝説的なバット職人は語った。道具に対する意識の高さはイチロー流準備の特徴だった。

名工を感激させたイチロー流のバット取扱い

「そんなプレミアムバットを1995年頃から特性のジュラルミンケースに入れて持ち歩いている。ケース内には乾燥剤を入れるポケットがあり、湿気による重量増を防いでいる。この特殊ケースを使い始めるまでは、晴れた日にバックネットで天日干ししていた。

 

2004年、マリナーズのアリゾナキャンプを訪れた久保田五十一(いそかず、ミズノテックス所属で、イチローのバットの製作者。2003年11月、厚生労働省認定の現代の名工100人に選出。2005年黄綬褒章受章)には印象的なシーンがある。フリー打撃を終えた選手たちがそれぞれのバットを芝生の上に平気で放り投げる中、イチローだけがバットをグラブでそっと包み、まるで眠った赤ん坊をベットに横たえるように置いていた。」

イチロー選手は、試合後ロッカーに向かって座り、アンダーシャツのまま、「一日の反省はグラブを磨きながら、昨日試合後に何を食べたか、よく眠れたのか、というところから、実際にゲームが終わるまでに起こったすべてのことをよく振り返って考えてみる」のだそうです。そして、黙考が終わるとグラブを丹念に磨き直し、小さな棒器具を使って足裏をマッサージした後にシャワーに向かうとのこと。

反省しながらクラブを手入れし(実は、試合前にも入念に磨くそうです)、明日以降の準備に取り掛かる。常に準備万全といわれるイチロー選手の一面が垣間見られるシーンですね。そのシーンの中に食事の話がありましたので、イチローの心構え②では、そんなお話をまじえながら、ナイスプレーの原動力といわれる「準備についての心構え」に迫ります。

 

※本文および本文上段ともに『イチローの流儀』より抜粋。